「技術進化による市場全体の加速」と「消費者ニーズの多様化に伴う製品化の需要供給サイクルの加速」を背景に、製品・サービスのライフサイクルが驚くほど短命化しています。
また、新たな技術の誕生により、既存市場が異業種や新興企業によってディスラプト(破壊)されるケースも増えています。そうした環境下において、オープンイノベーションのニーズはますます高まり、今日では新規事業開発の有力な手段となっています。
しかしながら、知名度の高い大手企業とは異なり、中堅・中小企業には、こうしたオープンイノベーションに触れる機会が少ない状況下にあります。地方の企業となれば、その傾向はより顕著です。
要因に考えられることとして、協業する企業にとっても当然メリットのある事業開発である必要があり、それは資金調達ニーズの場合もあれば実施実績の場合もありますが、いずれにせよ知名度の高い大手企業と協業できることが好ましいと言えます。
中堅・中小企業側にもオープンイノベーションの実施にはハードルがあります。まず人的リソースの面で、大手企業のように新規事業開発部といった人員はおらず、企業によっては社長自らが本業の主要な担い手であることも少なくありません。
加えて、潤沢な新規事業開発資金があるわけでもないことが多く、事業化に向けては協業企業とともに資金調達を果たすことも開発プロセスのタスクになることが多いと考えられます。
ですが、中堅・中小企業の特長として、極めて高い事業意欲が挙げられます。決して大手企業が持ち合わせていないというわけではなく、とはいえ中堅・中小企業の場合は実務者がより経営層に近いことが多く、また事業規模の観点からも、新規事業にかける重みや比重が大手企業とは異なることが多いです。
これは協業による事業開発においては非常に大きなファクターであると考えられ、事業の具現化に向けては決裁権者の強烈な意思が原動力になるためです。
したがって、中堅・中小企業にとってオープンイノベーションによる事業開発は様々なハードルがあるものの、逆にそれらをクリアするスキームや支援を組み上げることができれば、非常に有効な新規事業開発手段だと考えらます。
事業戦略を整理する、資金調達に向けた事業計画を策定する、事業運営における社内外のオペレーションを構築する。そうした事業開発の実現に向けた活動は、できる限りのバックアップを行えればと考えます。
上記のとおり、協業に際しては協業企業に対しても、多分に迷惑のかかることも少なくないかもしれません。ですが、一つ一つのハードルを一緒になってクリアし、県内企業にも協業企業にとっても、そして社会にも好ましい、新たな価値創造を目指したいと考えます。
株式会社douryoku